中国輸入ビジネスに追い風。中国が特恵関税から卒業!

輸入ビジネスに取り組んでいる方なら、一度は「特恵関税」という言葉を耳にしたことがあると思います。
中国の部分卒業が相次ぎ、まもなく全面卒業が予定されていることで、中国輸入ビジネスに有利になりそうです。

そもそも特恵関税とは?

簡単に言うと、発展途上国からの輸入にあたって本来課税される関税を減免あるいは免除することで相手国の経済発展を手助けするための制度です。

経済発展の暁には日本からの輸出を増やしたい・・・という目論見も見え隠れする制度ですが、いずれにせよ本来であれば5%、10%とかかる関税を2%とか無税に出来てしまう裏技的なものです。

しかもこれ、革靴などの一部例外を除いて原産地証明(FormA)さえ用意すれば数量制限もありません。

 

輸入消費税も安くなる

消費税は申告価格の8%(2018年2月現在。消費税・地方消費税の合計)です。この消費税は、「商品金額(FOB、CIFなどの金額)」+「国際物流コスト」+「関税」の合計額に対して算出されます。

つまり、関税が安くなるということは、
消費税も安くなるのです。

ただし・・・
・輸入申告時に申請しなければ適用されない
・原産地証明(FormA)を輸出サイド(中国の輸出業者)に、品目ごとに取得してもらう必要がある
など、多少ではありますが手間がかかるために、ある程度大きな取引規模でなければ割にありません。つまりコンテナで大規模に輸入できる業者だけが恩恵を受けてきたとも言えます。

 

中国輸入で大人気のアレ、関税率9.1%→実は無税でも輸入できていた!

ひとつ実例を上げましょう。
日本で仕入れ価格を1割値引きしてもらうなんて、なかなか出来るものじゃありませんが、普通にできてしまっていたのがこの特恵関税です。

引用元:税関:実行関税率表
http://www.customs.go.jp/tariff/2018_1/data/j_62.htm

「ショール、スカーフ、マフラー、マンティーラ、ベールその他これらに類する製品」なんて長い品目ですが、この中には合成繊維製のストールも含まれます。今や殆どの製品が中国製。ではこの関税率はいくらでしょうか。

なんと合成繊維でシンプルなものだと、11.2%です。HSコードは6214です。

拡大すると、基本11.2%とある右の方に「WTO協定:9.1%」とか「特恵GSP:無税」とあります。

中国はWTO加盟国。適用される料率の中で最も低いものが適用されるルールのため、9.1%が通常の関税率になります。しかしこの横にある「特恵GSP」では無税です。GSPとは一般特恵関税制度(英語でGeneralized System of Preferences、略してGSP)のことです。従って特恵関税制度を使えば、関税率0%となるのでした。

先に書きましたが、これは原産地証明(FormA)を提出した場合です。
例えばストール1000枚、単価15元(1元=18円計算で270円)なら、商品金額270,000円。
関税9.1%なら24,570円。特恵関税適用なら0円です。

たった2万4千円余り?と思うかもしれませんが、年間輸入高が1,000万円なら91万円ですからね。案外バカに出来ません。



簡易課税だと10%に上がってしまう

ちなみに、総額20万円以下の貨物の場合には簡易課税率が適用されますが、これによって計算するとストールは10%になるので、一般税率を適用するよう通関時に申し添えなければなりません。小型貨物はOCSやDHLなどのクーリエを使うケースが多いと思いますので、予め日本側に伝えておく必要があります。黙っていると自動的に高い簡易課税率が適用されてしまいますよ。

中国は、特恵関税から卒業しつつある

そんなわけで多くの大企業を助けてきた特恵関税制度ですが、実は毎年「卒業」する品目があります。
税関に、平成30年度において特恵適用除外措置の適用基準に該当する品目が公開されていますが・・・

ありました、HSコード6214!

部分卒業とあり、平成30年度(2018年4月1日〜2019年3月31日)までの期間限定ですが、この期間の輸入に対しては特恵適用除外となりますので、WTO加盟の中国からの輸入は全て9.1%となります。

また、中国は平成31年度(2019年4月1日〜)で完全卒業も予定されていますので、今後は特恵関税から適用除外となると考えて差し支えないでしょう。

 

原産地証明(FORM A)を入手するには?

とはいえ、中国の特恵関税制度からの完全卒業まではまだ時間がありますので、入手手順をシェアします。

輸出側が用意する書類ですから、基本的には工場や、輸出を代行する現地企業に「FORM Aをください」と言うだけです。
中国ではFORM Aは出入国検験検疫局が発行していますが、貿易権のある企業しか申請ができません。個人経営の代行会社では対応できないので注意しましょう。私が経営しているイーウーパスポートは貿易権もありますからご安心下さい。

でコストですが、、、だいたい相場をみると、
輸出貨物原産地証明書の申請書作成や発行機関とのやり取りで、実費込みで100元〜200元位のところが多いみたいです。これは品目ごと、輸出ごとにかかります。

 

20万円以下なら原産地証明(FORM A)は不要!

実は、原産地証明(FORM A)を省略して、特恵関税を適用する方法もあります。

税関では「1申告の課税価格の総額が20万円以下の物品は原産地証明書の提出は必要ない」とされていて、インボイスに「MADE IN CHINA」といった表記をすることでこれに代えることができます。

ということは、総額20万円以下の場合には、簡易課税率と特恵関税率、どちらが適用されるのでしょうか?

ストールは、簡易課税率だと10%。特恵関税(GSP)率だと無税ですが・・・

答えは「輸入時に申告すれば無税になる」です。

 

上で「総額20万円以下」の場合は原則として簡易課税になるものの、輸入者が申告することで一般税率を適用することができるとお話しました。

よって、20万円以下の貨物の場合にはインボイスに「MADE IN CHINA」という表記を行い、輸入申告時に一般税率を適用することを伝えれば、特恵関税(GSP)が適用されるということです。しかし何もしなければ簡易課税率が適用されます。20万円以下の場合は簡易課税とするのが原則だからです。

但しこの除外要件が適用されるためには、1回の輸入総額が20万円以下である必要があります。

国際宅配便を含め航空貨物は、出荷重量が多いほど単価が安くなるため、関税を意識してインボイス金額で20万円以下に量を抑えると逆に送料が割高になることもあります。それでは本末転倒ですね。しっかり計算しましょう。

 

中国輸入ビジネスに追い風か。

特恵関税から全面卒業が見込まれている中国。それは、ひと手間かけて「原産地証明・FORM A」を都度入手できる業者と、入手してこなかった個人輸入家の関税の差が無くなることを意味します。これまで特恵関税の恩恵を受けてきた業者は、輸入価格がそれだけ上がるわけですから販売価格の値上げで対応する流れとなるでしょう。

今後数年、個人が更に稼ぎやすくなる環境が整っていくと言えそうです。

※法令、解釈は更新・変更される場合があります。詳しくは最寄りの税関にお問い合わせ下さい。

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